2034人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、徹斗からの連絡はなかった。
大樹と二人で帰る時も、いつもの癖で正門に視線を向けたが、誰もいない。
分かっていたが、やはり寂しくなる。
傷付けたんだとはっきり言われているみたいで。
「……はぁ」
ため息をついてベットに寝転がる。
片手には携帯、そしてもう片方には紙。
その紙には、携帯の番号とアドレスが綺麗な字で書かれていた。
「一応、恋人だもの」
悠稀は微妙な顔でそれを眺めた後、携帯に打ち込んでいく。
「というか、赤外線でいいじゃない」
大樹はあまり携帯を使わないのか、赤外線は嫌だと言って聞かなかった。
だから、悠稀がこんな面倒な作業をしなくてはいけない。
「全く、子供みたいな人なんだから」
子供みたいに我が儘で、でも子供みたいにまっすぐで。
紘子が好きになるのも、少し分かる気がする。
最初のコメントを投稿しよう!