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悠稀の事は、他の人より分かっているつもりだ。
だから今回の事も、なにかあるんだろうと思う。
「何があったの?」
だから問い掛けたのに。
悠稀は何も答えないで、ただ苦笑を浮かべるだけ。
「悠稀」
その苦笑が、固まった。
悠紫は後ろから声をかけても振り向かない悠稀に、首を傾げる。
紘子に視線を向けると、苦笑が返ってきた。
「おはよう」
「……おはよう、悠紫」
変わらない二人と変わってしまった自分。
何故か酷く場違いな気がして、悠稀は俯く。
「お~、みんないるのか。おはよう」
学校の門に着いた時、目の前に大樹がいた。
誰を待ってたのかくらい分かるから、紘子と悠紫は先に行こうとする。
「なんでだよ、一緒に行かねぇのか?」
不思議そうに問い掛けられて、やめた。
久しぶりに感じる四人の時間。
悠稀にとっては、それが傷付いた心を癒す救いだった。
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