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徹斗は、苛立っていた。 自分が悠稀に言った言葉に後悔はない。 だが、悠稀の事がどうしても許せないのだ。 徹斗の気持ちを知っていて、それでいて無意識かもしれないが、その気持ちを利用した悠稀が。 どうしても、許せない。 携帯を片手に、ため息をつく。 あの日から、悠稀は毎日欠かさずメールを送ってくる。 内容は、今日あった出来事やらなにやら。 普通の会話で聞くような話しだ。 徹斗がメールを送り返さなくても、毎日。 必要とされてるのだ、自分は。 友達として、悠稀に必要とされてる。 なのに、どうしても許せない。 心が狭いと、自分でも思う。 だから、自分は悠稀から離れている。 こうしたら、徹斗も悠稀もこれ以上傷付かないから。 悠稀の側にいる、あの三人。 彼らさえいれば、悠稀は笑っていられる。 だから自分は、悠稀の元から身を引くんだ。 どれだけ懐かしくても、どれだけ恋しくても。 もう、戻らないから。
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