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今でも、そのプレゼントは悠紫のかばんの中にある事を、紘子は知っている。
今でも、悠紫の思いは悠稀に向かっている事も。
そしてなにより、自分もまだ大樹に思いを寄せている事も、知っている。
携帯を取り出して、アドレス帳を捜す。
そして見つけ出す、徹斗のアドレス。
それにメールをしようとして、紘子は止まる。
自分がメールしても、いいのだろうか。
それ以前に、徹斗のアドレスは中学から変わっていないのだろうか。
変わっていたら分からない。
今持っているアドレスは、中学のものだ。
もし違っていたら、自分が徹斗に連絡する手段は何もない。
家に訪ねるのも、少し気が引ける。
紘子は、苦笑を浮かべて携帯を閉じる。
自分がこんな事で悩むなんて、馬鹿らしい。
もう一度携帯を開けると、紘子は迷う事なく徹斗にメールを作る。
それを送りつけて、満足気に笑った。
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