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今日、悠稀は家に帰った後で大樹の家に寄る予定だった。 久しぶりに羽都と会いたいし、羽都の夫も気になるからだ。 「羽都、喜ぶんじゃねぇ?」 「それならいいけど」 悠稀の手には、来る前に買ってきたケーキの箱。 羽都の好物らしい、モンブランが4つ入っている。 「……あ」 急に、悠稀が声を上げた。 「ん?」 もう大樹の家は目の前で、開けようとしていた大樹は振り返る。 「ごめん、家に携帯おいてきたの。取ってくるわ」 いつも持ってくるはずの携帯を、今日に限って忘れてきたのだ。 「すぐ取ってくるわ」 そうは言っても、悠稀の家は大樹の家から少し遠い。 車で送ってもらうか聞いたのに、悠稀は苦笑して断った。 「本当にすぐだから、待ってて」 返事も聞かずに走りだした彼女に、大樹はため息をつく。
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