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「おい」
不意に、低い声で呼ばれた。
怠そうに呼ばれた方を振り向いて、少し驚く。
明るい太陽のような金髪が、陽の光の下で粲粲(さんさん)と輝く。
「……お前」
「ちょっと聞きたいんだけど、悠稀と付き合ってるんだって?」
不自然なくらいの笑顔で、徹斗が聞く。
大樹は虚をつかれて目を丸くする。
「だから、悠稀と付き合ってるんだって?悠稀に電話したのに出ないから」
だから、直接聴きに来た。
なんで家を知ってるのかとか、聞きたい事はいろいろある。
それでも、徹斗の真剣な表情に何も言えなくなった。
「あぁ、そうだけど」
答えた瞬間、一瞬体が宙に浮く。
浮いた事に気付いた時には、壁にぶつかっていた。
思いきりぶつけられて、息が詰まる。
ぶつけた本人は、酷く冷たい表情で大樹を見ている。
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