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「何すんだよ!」
「……質問の続きだ」
噛み付くような大樹の言葉にも反応せず、徹斗はただ淡々と続ける。
「付き合ってるのは分かった。それで、悠稀はお前が好きなのか?」
その問い掛けに、大樹は固まった。
そんなはずがないのを、分かっているからだ。
悠稀は、ただ疲れただけ。
自分と同じように、想う事に疲れたから。
「それは、ないな」
だから、大樹はその問いに首を振る。
その瞬間、徹斗の顔が歪む。
「……どうして」
歪んだ顔のまま、徹斗は呟く。
「どうしてお前も悠稀を傷付けるんだよ!」
大樹の真横を拳で殴りながら、吐き捨てる。
「お前達なら大丈夫だと思って離れたのに、なんで!頼むから、これ以上悠稀を傷付けないでくれ」
泣きそうな声。やる瀬ない表情。
徹斗と悠稀の間に何があったのか分からないが、二人とも苦しそうだ。
それに、大樹も悠稀を傷付けるとはどういう事か。
徹斗も、傷付けた事があるというのだろうか。
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