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近くにある椅子に座って、悠紫はただぼんやりと悠稀を見つめる。 彼女は、何に悩んでいたのか。 大樹から話しは聞いても、大切な事は分からない。 上辺だけを聞いて、肝心の中身は何も教えてもらっていないからだ。 確かに、本人が言う事が1番いいのだろう。 だから無理には聞かない。 悠稀が、悠紫に言ってもいいと思うまで。 待つつもりでいるから。 「それにしても」 今、手を伸ばせば触れられる距離に悠稀がいる。 それが、自分にはまだ信じられない。 もう、ずっと触れないと思ってた。 さらさらの悠稀の髪を撫でながら、悠紫は柔らかい笑みを浮かべる。 頭の中に浮かぶのは、悠稀を受け取った時の会話だった。
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