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「俺と悠稀の関係は、普通じゃない」
大樹はそれだけ言うと、踵を返す。
帰るつもりなのだろう。
「待て」
悠紫は、静かに大樹を呼び止めた。
帰られては困る。今言った意味を教えてもらうまでは。
大樹は、まるで悠紫が呼び止めると分かっていたようだ。
「何だよ?」
ゆっくり止まると、振り返る事もなく問い掛ける。
「普通じゃないの意味。教えてもらうぞ」
否定する事は許さない。
悠紫はそんな鋭い眼差しを向けている。
大樹は肩を竦めてから振り返り、苦笑した。
「そのままさ。俺と悠稀の関係は、偽りだ」
「……は?」
いきなりの言葉に、悠紫は目を見開いて固まる。
そんな悠紫を気にする事なく、大樹は言う。
「とりあえず、お前ん家が1番近いだろうから運ばねぇか?」
半ば無理矢理、大樹は悠紫を引っ張っていった。
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