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おもしろくない。
今まで、徹斗が何度悠稀に告白しようと、悠稀の顔を赤く染めた事なんて一度もなかった。
というより、いつも冗談で片付けられていたが。
そんな悠稀が、真っ赤になって否定するなんて。
徹斗にしたら、それは全くおもしろくない。
「ふ~ん、いるんだ?好きな人」
だから、否定して欲しかった。
「う…ん」
なのに、悠稀が言ったのは肯定だった。
「誰」
ふと、徹斗の声の調子が変わった。明らかに機嫌を損ねたような声。
「て、徹?」
「誰か聞いてんだけど」
恐る恐る問い掛ける悠稀の言葉を無視して、徹斗は悠稀に歩み寄る。
「どうしたの?なんか徹、怖いんだけど」
必死で無表情を作っているが、その瞳には隠しきれない恐怖が滲んでいた。
「そんな事どうでもいいだろ。誰か聞いてんだよ!」
いきなりの怒鳴り声に、悠稀は怯えたように一歩下がる。
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