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「それなのに、別れるためにここに来たのか?悠紫は?」 質問ばかりしてくる大樹に、悠稀は訳が分からなくなる。 「そうよ、駄目だった?あと、悠紫は寝てたからおいてきた」 おいてきた。 その言葉に、大樹は盛大なため息を漏らす。 心底呆れたような顔の大樹を見て、悠稀の顔が不機嫌そうに歪む。 「何よ、何か文句があるの?」 「ねぇよ。でも、お前を運んだのは悠紫なんだ。起きるまで居てやればよかったのに」 多分、起きたら酷く慌てているんだろうな。 そんな悠紫の状態を想像して、大樹は噴き出しそうになる。 「そんな事言われても。私はもう決めたの。あなたをこれ以上、利用したくない」 悠稀の言葉を聞いて、大樹は俯く。 大樹が告白したのは、悠稀が好きだからとかいう理由じゃなかった。 ただ、悠稀といたら居心地がいい。 いろいろ悩まなくて済むし、彼女の独特の雰囲気は心を落ち着かせてくれる。 好きになった訳じゃないけど、離れるのは少し寂しい。
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