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全て話し終わってから、悠稀はため息をつく。 「もしかしたら、悠紫も傷付けるかもしれないわ」 そう言われても、悠紫は嫌な顔をしない。 それどころか、微笑を浮かべている。 「なんで笑ってるの?」 その表情に、悠稀は不思議そうに問い掛けた。 悠紫は悠稀の頭に手をおきながら、笑う。 「俺は大丈夫だ。お前の側にいるのに、傷付いたりしない」 どんな事でも、側にいれるなら。 真っ赤になる悠稀の頬を突いた後、歩きだす。 「悠紫、待って」 慌ててついてくる悠稀を見て、安堵の息を吐く。 今の悠稀は、悩みを抱えている。 その悩みが深ければ深いほど、言ってくれないのかと思っていた。 「信頼されてるって、いい事だな」 「え?」 呟かれた言葉は小さすぎて、悠稀には聞こえない。 聞き返したのに、悠紫は笑みを浮かべるだけで答えてくれなかった。
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