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徹斗の家の前で、悠稀は大きく息を吸い込む。 そして、思い出した。 自分は、徹斗に避けられているのだ。 あの時だって、悠稀の姿を見た途端に徹斗は逃げ出した。 それほどまでに避けている悠稀を、徹斗は家に入れるだろうか。 しばらく考える。 先程の答え。 それは、「NO」だ。 避けている人にわざわざ会おうとする人間はいないだろう。 それなのに、家に入れるなんて以っての外だ。 ならば、どうやって? それの答えは簡単。 それは――。 「突き破れば早いのね」 徹斗が悠稀の姿を見て怯んだ瞬間。 その一瞬だけが、チャンスだ。 「よし!」 自分に気合いを入れて、いざ徹斗の家のチャイムへ! 「……何してんだ?」 いきなり扉が開いて、徹斗が顔を出す。 逆に、悠稀が怯んでしまった。 「て、徹。なんで?」 上手く笑えない悠稀を呆れたように見ながら、質問の答えを探しているようだ。
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