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「お前が来たのを、上から見たんだ」 「そ、そう」 徹斗を怯ませようと思っていたのに、逆に自分が驚いた。 どうやって徹斗の家の中に入ろうか。 「入れば?」 そんな事を考えていたのに。 徹斗は何でもないような口調で言う。 「……え?」 いいの? 悠稀の表情からそんな疑問を感じ取って、徹斗は苦笑い。 「俺だって、避け続ける訳にはいかないんだよ」 苦笑しながら言われる言葉に、悠稀は胸が締め付けられる。 自分が悪いんだ。なにもかも、自分が。 それなのに、徹斗は。 悠稀が全て悪いのに、それでもちゃんと向き合おうとしてくれる。 自分は、なんでこんなに優しい人を傷付ける事しか出来ないんだろう。
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