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「も、もういいでしょう?今日の徹、変よ」
照れているのか、赤くなる顔を隠すように下を見ながら徹斗に言う。
「あぁ、悪い」
徹斗も普通に離れるが、どこか会った時と雰囲気が変わっている。
「徹、本当に変よ?大丈夫なの?」
心配そうに覗き込んできた悠稀を、気付いたら抱きしめていた。
「……徹?」
今日の徹斗の様子に、悠稀は戸惑うばかりだ。
「…悠稀。一つだけ約束、いいか?」
首を傾げながら頷く悠稀。徹斗は、本当はこんな事言いたくなかったが、そんな事も言っていられない。
「頼むから、俺から離れないで。彼氏なんて、つくるな」
ぐっと、抱きしめる腕に力を込める。
悠稀は強く抱きしめられて少し顔をしかめた。
が、何も言わずに徹斗の背に腕を回す。
「大丈夫よ、徹。私はあなたから離れるつもりはないから。だって、大切な親友だもの」
何も知らない悠稀の、優しくて残酷な言葉。
でも、今はそれでいい。
悠稀のすぐ側にいられるなら、今はこれで我慢しよう。
「まぁ、今はなんだけどな」
小さく呟いて、徹斗は悠稀を強く抱きしめた。
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