2034人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
次の日、悠稀は徹斗の家の前にいた。
昨日の事に悩んで、悩み疲れた結果。
徹斗に相談しようと思ったのだ。
でも。
「やっぱり、止めようかしら」
フラれた人から恋愛の相談なんて、普通はされたくないだろう。
それでも、徹斗しかいないのだ。
本当は、悠紫からの告白を断りたくない。
でも無理だった。
返事をしようと考えると、徹斗の事が浮かんでくる。
自分の1番大切な人を傷付けて、それなのに自分だけ幸せになるなんて。
どうしても許されない事のような気がする。
「……どうしよう」
徹斗に言いにきたのに、やっぱり話せない。
チャイム自体が押せないのだ。
ため息を付きながら、徹斗の家の前を行ったり着たり。
端から見たら、完全に怪しい人なのだろう。
いつの間にか玄関の扉にもたれ掛かっていた徹斗は、そんな挙動不審な悠稀を苦笑しながら見ていた。
悠稀は自分の事でいっぱいいっぱいなのだろう。
徹斗がいる事に、全く気付いていないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!