34

20/20

2034人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
「俺はさ、悠稀。お前に幸せになってほしいんだ」 「……え」 悠稀の顔は、驚いたというより引いたという方がいいような表情をしている。 「いや、なんで?俺いい事言ったのに」 「そんなの、よく言えるわね」 しみじみとそう言う悠稀に、徹斗はため息。 「とりあえず、お前はお前の思うままに返事を返せばいいんだよ。俺は、悠稀が幸せになる方を応援する」 徹斗の笑いながらの言葉に、悠稀は何も言えなくなる。 いつもいつも、彼は優しい。 だから困るのに。 「ん、わかったわ」 でも、いつもその優しさに救われるんだ。 悠稀の戸惑いや躊躇いは、跡形もなく消えていた。 悠紫の告白を受けよう。 誰に言うでもなく、悠稀は小さく微笑んだ。
/373ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2034人が本棚に入れています
本棚に追加