2034人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
「何に怯えてるとか、わかるか?」
「分からないわ。ただ、最近なんか電話とかがよくかかってきて」
そう、かかってくるようになってからだ。
何かを悠稀に隠すような感じがするようになったのも、その時から。
もしかしたら、その電話と何か関係があるのかも。
「やっぱりちょっと心配ね」
「帰るか?」
悠稀を気遣ってくれているのはわかる。
だがせっかくの二人きりでデートなのだ。
その日にすぐに帰るというのは勿体ない気がする。
「……大丈夫よ。また帰ってから母さんに聞いてみるわ」
まだ大丈夫だろう。
今まで何もなかったんだから、今もこれからもきっと何もないはずだ。
そう結論付けて、悠稀は悠紫に笑いかけた。
悠紫はまだ少し心配そうだったが、すぐに優しい笑顔を浮かべる。
悠稀は気付いていなかったのだ。
そして後悔する事になる。
なんでこの時、戻っておかなかったのだろうかと。
最初のコメントを投稿しよう!