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「なんで貴方がここにいるの?母さんがいないって、どこにやったのよ!」 叫ぶようにして問い掛ける悠稀に対して、斎はあくまで冷静だ。 「柑奈は言う事を聞かなかったから、ちょっと殴ったんだよ。今は2階のベッドで寝てるさ」 大丈夫。生きてるから。 その一言に、悠稀はキレた。 「馬鹿にしてるの!?母さんや私をなんだと思ってるのよ!いつまでも貴方の言いなりになってると思ったら大間違いよ!」 さっさと出ていって! 悠稀の叫びにも怯む事なく、逆に首を傾げる。 何を言っているの分からないというようなそぶりが、ますます悠稀の神経を逆なでした。 苛々する。この目の前にいる男は、いつもいつも家族を振り回す奴だ。 小さい時から積み重なっていった父にたいする不満が、やっと爆発した。 「出てって、出て行って!もう一生私達の前に姿を現さないで!!」 「それは無理だよ、悠稀。だってお前達を迎えに来たって言っただろう?」 全く話しを聞かない。 これでは駄目だ。なんとかして、話しを聞かせないと。 回りを見回しても、脅し道具になるようなのがまるでない。 探している間にも、斎は迫ってきているのだ。
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