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「いや、来ないで!」
「悠稀!」
悠稀の叫びと被せるように、聞き馴染んだ人達の声が聞こえた。
斎は動きを止め、悠稀は目を見開いて四人を見る。
そこにいたのは、大樹達四人だった。
「悠稀、大丈夫?」
紘子が斎の横をすり抜けて悠稀の側に行くと、大樹と徹斗と悠紫はそんな二人を庇うように立つ。
斎の顔がみるみる歪む。
「なんだお前達。悠稀を返せ!」
斎の瞳が真っ直ぐ徹斗に向く。
真っ青な顔をしているが、それでもしっかり立っている徹斗。
その横で、悠紫が斎を睨み付けている。
「悠稀は、お前に渡さない」
「誰だ、お前?」
悠紫を完全に敵と見なしたのか、斎の声は低い。
「俺は……」
「駄目!やめて、悠紫」
言いたくない。また徹斗みたいな事になったら、どうしたらいい?
「俺らが守る。なんのために来たと思ってんだ?」
大樹が呆れたように言う声を聞きながら、悠紫は言う。
「俺は、悠稀の恋人だ」
瞬間。斎の表情が般若のように変わる。
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