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「次から次へと!」
吐き捨てるように言うと、斎は金属バットを持って悠紫に向かっていく。
その間に徹斗が入り込むと、振り下ろされた金属バットを木刀で受け止める。
「武器を使った喧嘩なら負けないぜ」
不敵な笑みを浮かべる徹斗。
言葉通り、打ち込む斎の攻撃を全て受け止めていく。
「くそっ!」
金属バットは意味がないと気付いたのか、斎は投げ捨てて徹斗を押す。
「うわ」
いきなりの攻撃に避ける事が出来ず、徹斗は倒れ込む。
「素手なら俺だな」
ひょいと前に出た大樹は殴り掛かる斎の手を左手で流し、腹部を殴り付ける。
怯んだその隙をついて、蹴りを顔面に放つ。
「ぐう!」
鼻を押さえながら立ち上がろうとする斎を、悠紫が押さえる。
「父さん、もうやめてくれる?私はいつまでも貴方の側にいる訳じゃない。はっきり言って迷惑なの」
「……悠稀」
捨てられた子犬のような顔をして、斎が悠稀を見上げてくる。
それでも、彼女の表情はまるで変わらなかった。
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