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斎は素直に悠稀の前からいなくなり、二階に寝かせていた柑奈は病院に運ばれた。 そんなに大きな傷がある訳でもないから、すぐに退院できるらしい。 今は一応、何かあったらいけないから入院しているのだ。 あまり酷い怪我ではないが、頭を殴られたのは危ないかも知れない。 いつ何が起きても不思議ではないらしいが、当の柑奈はぴんぴんしている。 多分、何もなく退院出来るだろう。 今、悠稀と悠紫は病院の庭に二人で座っていた。 紘子と大樹もいたのだが、こっちに気を使ったのかいつの間にか居なくなっている。 「ありがとう、悠紫」 「何が?」 悠稀のいきなりのお礼に、彼は首を傾げた。 くすくす笑いながら、悠稀は大きく伸びをする。 「助けに来てくれたでしょう?ありがとう」 「あれは、出水から連絡が来たんだよ。悠稀から電話があった、嫌な予感がするってな」 徹斗は、やはり気付いてくれていたのだろうか。 一度だけ電話をしたというのに、それをしっかり理解してくれるなんて。 よく出来た幼なじみだと思う。
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