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栗色の髪をしたこの少女は、大樹の妹だ。
「どうした?」
「お兄様に、悠紫様を迎えに行けと。そろそろ来るだろうからと言っていましたから」
上品に笑う彼女の顔は、昔の幼さなどどこにもなかった。
「羽都、綺麗になったな」
ぽつりと悠紫が呟くと、羽都は顔を真っ赤に染める。
それが悠稀の様で、思わず笑ってしまった。
「と、とりあえず!悠紫様はこちらへ」
悠紫の褒め言葉と笑みに顔を染めながらも、羽都は悠紫を連れていく。
そして案内された場所は、とても広い部屋だった。
「ここ、もしかして大樹が一人でか?」
「えぇ。お兄様は会社を継いでいただかなくてはいけないので、これくらいが普通ですわ」
さらっと言ってのける羽都。
悠紫はそれに呆れながらも、羽都にお礼を言う。
そして、羽都がいなくなるのを確認してから、目の前の大きな扉に手をかけた。
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