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彼は、今の悠稀には唯一の味方だった。 だが、彼を完全に信頼はできない。 何故なら。 「悠紫(ゆうし)でいいって言ってるだろう」 無表情で言うこの青年は、悠稀を虐めている張本人、上野 大樹(ひろき)の大親友なのだ。 「…で、矢神先輩は上野先輩のもとに行かなくていいの?」 悠稀は悠紫の隣に腰をおろして、聞く。 が、当の悠紫は欠伸をしながら答える。 「いらねぇだろ、あいつには立花がいるし」 立花と聞いて、悠稀の顔が歪む。 立花とは、紘子の事だ。悠稀の親友だった、少女。 だが、悠稀は紘子に裏切られたのだ。
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