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次の日、悠稀はいつもの様に一人で登校していた。 誰も悠稀に近付かないし、寄って来たら暴力を振るう。 そんな生活は、正直うんざりだった。 それでもこの学校に来るのは、ただ単に悠紫の存在があるからだ。 「……痛い」 靴箱について上履きを手に取った時、いきなり指に鋭い痛みが走る。 無感動な目でそれを見ると、無数の画鋲の仕業だった。 「馬鹿らし」 一言吐き捨てて、悠稀は上履きを履く。 そろそろ、ここらから演技を始めなくてはいけないのだ。 弱々しい、地味な田之上悠稀を演じるのには、もう飽き飽きなのだが。 「そうも言ってられないし?」 一人でため息をつき、自分の教室に向かう。
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