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「ねぇ、田之上さん」
ふと、2年の教室がある2階の廊下で、悠稀は誰かに呼び止められた。
聞き覚えのある声に、内心またかと思いながら振り向くと、そこには胡散臭い笑みを浮かべる克巳の姿。
「何の、用ですか?」
おどおどと、怯えたような表情を完璧に作りあげる。
「別に、用はないよ?」
悠稀の問い掛けに、笑みを浮かべたままそう答える。
「はぁ?」
おっと、素がでた。
怪訝そうな表情の克巳を見て、慌てて悠稀は取り繕う。
「用がないなら、何で?」
呼び止めたんですかと言う言葉は、克巳に遮られた。
「ただ、そろそろ田之上さんに泣いてもらおうかと思って」
そう言い終わらない内に、悠稀の腹部に拳が減り込んだ。
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