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「悠紫!それは…」 咎めるような悠稀の声を聞いても、悠紫は全く表情を変えない。 「どういう意味だよ」 低く、押し殺したような声で大樹が問う。 「悠稀、眼鏡外して髪下ろして?」 わざと悠稀の耳元で悠紫は呟くと、思い通り悠稀は頬を赤く染める。 「え、なんで……?」 戸惑っているのがよくわかるが、悠紫はそのまま何も言わない。 仕方なく、悠稀は眼鏡と髪をとめているゴムを外す。 「…お前」 大樹の驚いた声。 そして悠稀の美貌を見た、周りの人の息を呑む声が悠稀に聞こえた。 悠稀はそれらを嫌がるように顔をしかめた。 「何よ」 じっと悠稀を見ている大樹に気付き、強い瞳で大樹を睨む。 それはまるで、気高い獣の様で、大樹は何も言えなかった。 「……これでいいの?」 「あぁ」 悠稀の問いに満足そうに頷いて、悠紫は悠稀に手を貸して立ち上がる。
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