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「わかったか、大樹。お前はいつも、図書室で悠稀に会ってんだよ」
驚いて声もでない大樹は、悠紫の声で我にかえる。
「……お前、いつの間に田之上と仲良しになったんだよ」
低い、押し殺したような声をあげる。
「別に、お前には関係ないだろ」
悠紫も負けないくらい低い声で反論する。
険悪な雰囲気になってきた二人に挟まれている悠稀は、少し居心地悪そうに顔をしかめた。
「悠紫」
少し不機嫌そうな悠稀の声。
それを聞いて、悠紫はいつもの柔らかい笑みを浮かべた。
「悠稀、悪いな」
頭を撫でながら笑いかけると、悠稀のしかめた顔も普通に戻る。
それが、大樹には気にいらない。
さっきまで自分に向けていたのは、敵意丸出しの表情なのに。
何故、悠紫にはあんなに柔らかい瞳なのだろう。
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