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「あいつ、最低」
悠稀は、数十分前に歩いていた道を引き返していた。
大樹のせいで、気分は最悪。
授業なんて受けようと思えない。
「……悠稀」
ふと、聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた。
だが、悠稀は表情を全く変えようとせず、静かに振り向く。
「紘子」
そこには、予想通り紘子が立っていた。
無表情な悠稀と、怒っているのが不機嫌そうな紘子。
二人ともに美人なため、普段なら絵になるような光景だろう。
だが、二人の異様な雰囲気がそれをぶち壊している。
「何?」
「ちょっと来なさい」
短い会話。紘子は悠稀の手を掴んで真っ直ぐ近くの公園まで歩く。
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