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また、殴られるのか。
悠稀は紘子に連れられながら、他人事のように考えていた。
だが、紘子にいつもくっついている女子が居ない。
それだけが、悠稀の疑問だった。
「ちょっと、何の用?」
公園に着いてもなかなか話し出さない紘子に、痺れを切らした悠稀が不機嫌丸出しの声で問い掛ける。
「……あんたさ、何で大樹先輩に気に入られてるのよ」
「はぁ?」
言葉の意味がわからない。
ただわかるのは、紘子が悠稀と仲直りする気がない事だけ。
はぁ、とため息をついて、悠稀はさっきから無表情のまま。
「馬鹿らしい。あんな奴に気にいられてるですって?聞いただけで虫酸が走るわ」
冷たい声で吐き捨てる悠稀に、紘子の表情も険しくなる。
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