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「徹、何でいるのよ?」
紘子に叩かれた頬を押さえながら、悠稀は首を傾げる。
今の時間、本来なら学校がある筈だ。
なのに、何故徹斗がここにいるのだろう。
「それ、そっくりそのままお前に返すぞ」
紘子の手を離して、呆れたような表情を浮かべる徹斗。
だが、すぐに表情を引き締めて紘子を睨む。
「あらあら、役立たずの騎士が何の用?」
馬鹿にしたような紘子の声。
それを聞いて、徹斗は眉間に皺を寄せる。
「立花、お前悠稀の親友だろ。何でこんな事」
そう徹斗が聞くと、紘子はふんと鼻で笑う。
「貴方のお姫様に聞いてないの?悠稀、今虐められてるの。貴方が言ってるのはだいぶ前の話しでしょ?」
紘子の言葉を聞いた徹斗は悠稀の方を見るが、悠稀は下を見たまま唇を噛み締めていた。
「悠稀」
「虐められて当然よ。私、悠稀が前から嫌いだったもの」
紘子が言い終わるのと、徹斗が動いたのはほぼ同時だった。
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