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ばぁん、とさっきよりも強い音が響く。
悠稀も紘子も、呆然と目の前で起きた事を見ていた。
「…いてぇ」
「後先考えずに突っ込むからだ、馬鹿」
徹斗の平手を紘子の代わりに喰らった大樹は頬を押さえ、その横で悠紫は呆れたようにため息をつく。
「大樹先輩!」
「おぉ、紘子。大丈夫か?」
慌てて駆け寄る紘子に笑いかけ、大樹はぞっとするような目で徹斗を睨む。
「……お前、死にたいのか?」
一歩徹斗に近寄るが、徹斗は全く動じない。
「やめて」
ふと、徹斗と大樹の間に小柄な体が割り込む。
悠稀は真っ直ぐ大樹を睨んでいた。
「徹に何かするなら、私は貴方を許さない」
ぐっと言葉に詰まった大樹の代わりに、悠紫が悠稀に聞く。
「女を殴ろうとした奴を庇うのか?」
悠紫は、意味が分からないというような表情で悠稀を見ていた。
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