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「えぇ、そうよ。だって、徹は私の大切な人だもの」
正面から、悠稀は強い眼差しで悠紫を見る。
その時、今まで黙っていた徹斗がぐいっと悠稀を自分に引き寄せる。
「悠稀、この人達誰?」
説明を求められて、悠稀は少し戸惑う。
「ええと、こっちの黒髪が悠紫先輩。私の先輩ね。で、こっちが…」
悠稀の視線が大樹に向く。が、すぐに徹斗に向けられた。
「……知らない人ね」
あまりにも普通に言うので、大樹本人も聞き逃すところだった。
「おい!」
「……訂正。私の大嫌いな先輩ね」
そう締め括る。が、徹斗の視線は真っ直ぐ悠紫に向けられている。
「何だよ?」
「…はじめまして、徹斗って言います」
にっこりと不自然なほどの笑顔で悠紫に挨拶する。
それに対し、悠紫はいつもと同じ無表情。
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