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ようやく悠稀が何か言おうと口を開く。 「悠稀、図書室行こう」 だが、悠紫はそれを阻む。 いきなりぐいっと腕を引っ張られて、悠稀はバランスを崩す。 「きゃっ!」 小さく悲鳴をあげて、悠稀は悠紫の胸にもたれ掛かる。 予想以上に広い胸に少し驚いて体を離そうとしたが、何故か悠紫の片手が腰に回されていて、身動きがとれない。 「悠紫?」 「行こう、悠稀」 いつもの笑みを浮かべると、悠紫は強く悠稀を引っ張る。 悠稀は、それに逆らう事はしない。 そのまま、大樹の方をちらちら見ながらも、悠紫に連れられて悠稀の姿が屋上から消える。 見えなくなると、大樹ははぁ、とため息をつく。 「また悠紫にとられた」 悠稀の事だろう。少し悔しそうに大樹は呟いた。
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