2034人が本棚に入れています
本棚に追加
ようやく悠稀が何か言おうと口を開く。
「悠稀、図書室行こう」
だが、悠紫はそれを阻む。
いきなりぐいっと腕を引っ張られて、悠稀はバランスを崩す。
「きゃっ!」
小さく悲鳴をあげて、悠稀は悠紫の胸にもたれ掛かる。
予想以上に広い胸に少し驚いて体を離そうとしたが、何故か悠紫の片手が腰に回されていて、身動きがとれない。
「悠紫?」
「行こう、悠稀」
いつもの笑みを浮かべると、悠紫は強く悠稀を引っ張る。
悠稀は、それに逆らう事はしない。
そのまま、大樹の方をちらちら見ながらも、悠紫に連れられて悠稀の姿が屋上から消える。
見えなくなると、大樹ははぁ、とため息をつく。
「また悠紫にとられた」
悠稀の事だろう。少し悔しそうに大樹は呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!