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悠稀は腕を掴まれたまま困惑していた。 何故自分はぐいぐい引っ張られてるんだろう。 それ以前に、今は授業中の筈で。 「ね、矢神先輩。今って授業中でしょう?」 「……悠紫でいい。もう矢神先輩と言うな」 不機嫌そうな悠紫の声。これは従うのが得策だろう。 「わかったわ、悠紫」 悠稀がそう言うと、悠紫は意外そうに悠稀を見る。 「何?」 「いや、今日はやけに素直だな」 悠紫の言葉に、悠稀はくすくす笑う。 「貴方が呼べって言ったのよ?それで呼んだら驚くのは変じゃない?」 「……あぁ、そうだな」 不機嫌から柔らかい声音に変わる。 あぁ、悠紫のこの声好きだなぁ。 なんて考えていた。 と、ぼんやりした瞬間。 気がつけば悠稀は抱きしめられていた。
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