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いきなり抱きしめられて驚いたせいか、悠稀は思いきり悠紫を突き飛ばす。
「あ、ごめんなさい。でもいきなりだったから」
冷静に謝る悠稀だが、内心は冷静でなどいられない。
何故悠紫がいきなり抱きしめてきたのか、とか今日の悠紫は少し変だ、とか。
いろいろな事が頭をますます混乱させている。
「あぁ、こっちも悪い」
悠紫もいつもの無表情。
悠稀はまだ心臓がばくばくいっているのに、悠紫の余裕な態度が少し悔しいが、安心もしていた。
こんなに普通でいるという事は、悠稀を抱きしめたのも気まぐれなのだろう。
そう勝手に解釈されていることなど全く知らず、悠紫は再び悠稀の手を掴む。
だが、さっきのように無理矢理ではない。
壊れ物を扱うように、優しく優しく悠稀の手を引く。
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