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それを聞いて、悠稀の顔が強張る。 こいつは、自分を探している。 私を、虐めるために。 「知らないな。田之上の事だ、上手い事お前の前から姿を消してるんだろう」 「……そう、か」 自嘲気味に笑いながら、大樹は踵を返す。 「女といちゃついてないで、帰るぞ悠紫」 「はいはい」 悠紫は起き上がり、ふと悠稀に目を向ける。 そこには、無意識に寂しそうな顔をした悠稀が居る。 そんな悠稀に声をかけられない事をもどかしく思いながら、一回優しく頭を撫でて、悠紫は出て行った。 図書室に一人残った悠稀は、髪を三つ編みにしようとしながら幸せそうな笑みを浮かべて、悠紫の馬鹿と小さく呟いた。
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