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「変わったのは、お前のおかげだ」
悠紫の呟きは小さすぎて、悠稀には届かなかった。
だが、それでもいい。悠紫は悠稀にそれを言うつもりなどないから。
「悠稀、おいで」
いつの間にかソファーに腰掛けて、悠紫は自分の横を叩く。
その音で、今まで図書室の中を動き回っていた悠稀が悠紫の元に戻ってくる。
「どうしたの、悠紫?人を動物みたいに」
どうやら、おいでという呼び方がお気に召さなかったらしい。
だが、悠紫は気にせずに自分の横を叩く。
「おいで」
またそう言う悠紫。
何を言っても無駄だろうと諦めた悠稀は、大人しく悠紫の横に腰掛ける。
「いい子だ」
そう言って、悠紫が笑う。
「…その笑顔が見れるならたまにはいいか」
ぽつりと、悠紫に聞こえないように言って、悠稀は笑った。
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