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暗い道を、一人の少女が歩いている。 美しい顔立ちに、少し幼さが滲む少女。 今は、22時をとっくに回っている時間だ。 その時間まで、この少女は学校にいた。 しかし、部活をしていた訳ではない。 これほど帰るのが遅れたのは、昼寝のつもりのうたた寝で寝過ぎたからだった。 回り一面黒ばかりの道を、彼女は怖がるそぶりなど微塵も見せずに歩いて行く。 「………?」 ふと、少女が歩みを止めた。 少し、違和感を感じたのだ。 だが、足を止めてみても何も感じない。 だだ、気味が悪いほどの静寂が少女を包む。 「気の、せい?」 あまり納得していないような声だが、彼女は再び歩き出す。
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