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「覚えててくれたんだ?嬉しいなぁ」
にやにやと、気味悪い笑みを浮かべる慶輔を見て、悠稀は無意識に1歩下がる。
慶輔は、ぼさぼさの黒髪に眼鏡をかけている。
その容姿や性格のせいで、悠稀ほどではないが虐められていた。
「何の用?人にストーカーなんかして」
「ストーカーじゃないよ、田之上さんがこんな時間まで寝てるから、送ってあげようと思ったんだ」
悠稀はぞっとした。
慶輔は、自分の事を監視でもしているのか。
何故、悠稀が寝ている事を知っているのだろう。
「貴方、気持ち悪いわ」
心底嫌そうな悠稀の言葉も、慶輔には届かない。
「田之上さんは、僕のものだしね。誰かに傷つけられたら嫌だなぁ」
そう言って、悠稀に近付く慶輔。
悠稀は、一瞬の隙をついて逃げ出した。
気付いたのだ。聞き馴染んだ足音が近付いているのに。
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