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「徹!」
傷だらけの徹斗を見て、悠稀はその体を支えるように寄り添う。
あの後、徹斗は素手で必死に戦ったが、刃物に敵うはずもなく。
しかも、慶輔は結構頭が回るようだ。
動けないように、徹斗の左足に深々とカッターナイフを突き刺していた。
「悠稀、逃げろ」
小さく呟いたのに、悠稀は首を横に振る。
ハンカチで徹斗の左足を押さえている。
足以外は小さい傷ばかりだが、それでも体中にあるのだから血が足りなくなる。
今も、少し頭がぼんやりしているのだ。
と、いきなり慶輔が徹斗を突き飛ばす。
「きゃあ!?」
悠稀の悲鳴が上がる。
慌てて悠稀の方を見ると、慶輔に押し倒されていた。
「離して!」
必死で暴れても敵わない。
それが、悠稀には悔しかった。
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