600人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、喫茶店を出て再び本屋へ……
俺の隣りで、参考書を真剣に見ている渚。
その目は、バスケをしてる時と同じくらい真剣だ。
……俺、渚のこの目好きなんだよな…
初めて渚に会った日もそうだった
渚は、俺を……俺のプレーを今と同じ真剣な目で見てきた
渚は
いつも俺を見てくれて
いつも俺の心配してくれて
きっとあの頃の渚は、俺のことを弟とかと同じ扱いをしてたんだと思う……
渚には3つ下の弟がいるから……
でも、あの頃の俺は、そんな扱いでも渚が手を焼いてくれるのが嬉しかった。
何かあるとすぐ泣いてた俺に、いつも優しくオレンジジュースとゼリーをくれた渚。
なんか悩んでいると、すぐに気付いてくれて……
中学に入ってから、渚は可愛くなって……
昔からモテてたけど…
あの日、渚が言ったから……
~回想~
あの日も、いつもと同じように、クラブチームの話をしようと思い、渚のいる教室に行くと……
「ねぇ渚、渚ってどんなタイプが好きなの?」とクラスの女子と話だした
「うーん……
強気で、前向きで、優しくて…かな?」と渚
「泣き虫とか嫌じゃない!?
あと、ヘタレとかー」と他の女子
「あっ、それわかる!
男はやっぱ紳士的じゃないとね!
ね、渚?」とクラスの女子
「えっ?う、うん!
そうだよね~。」と渚
「渚さ、そんなダメな男が告ってきたらどうする?」とクラスの女子
「えーダメな男でしょ?
無理むり。せめてカッコイイ人にして」と渚
それを聞いて、俺は走ってその場から逃げたんだ……
本当はちょっと期待してた。
いつも俺を見てくれてるから、渚も俺を好きなんじゃないかって。
泣き虫な俺でも、受け入れてくれてるんだって。
でも…
今の俺が告ってもダメだってわかったから……
~回想終了~
だから俺、泣き虫卒業したんだぜ?
渚が好きって言ってくれるような男になるために……
渚はいつになったら、俺を一人の男としてみてくれる?
もう弟じゃ嫌なんだ。
俺は、渚のために強くなるから。
俊也先輩みたいになるから。
そうしたら、渚は振り向いてくれるか?
本当は、全中優勝したら、インタビューで俊也先輩みたいに言いたかった。
『俺がここまでこれたのは、渚のおかげだ』って。
なのに、俺のせいで負けたから……
こんなんじゃ、まだまだ俊也先輩みたいにはなれないな……
最初のコメントを投稿しよう!