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「あぁ、そうだね。俺は君と違って有名人じゃないからね。俺は、九条 唯。」
「はぁ?貴方が?!」
「うん。取敢えず、立ったら?手、貸す?」
「大丈夫。」
そう言って唯の申し出を断ると紗那は立ち上がり、制服の埃を払った。
大勢いた女生徒達は、いつの間にか姿を消している。
「ごめんね。こんなことになってるなんて知らなくて。」
「そうね、私も全然知らない人が原因でこんなことになるなんて、予想もつかなかった。でも、九条君が謝ることないよ。」
「でも、俺のせいだし。もう、こんなことしないように、良く言っとくし、後でちゃんと謝らせるから。」
「もういいよ。九条君が代わりに謝ってくれたから。」
紗那はひどい目にあったというのに、笑顔でそう答えた。
「一ノ宮さん。」
「はい?」
「好きだよ。」
「えっ?」
「君の事が好きなんだ。」
紗那は顔を赤くして、驚いている。
それもそのはず。
このタイミングでまさか愛の告白をされるとは夢にも思わないだろう。
「本気で言ってるの?」
「こんな恥ずかしい事、冗談で言えないよ。」
紗那の言葉を聞き、唯は少し寂しそうに微笑みながらそう話した。
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