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「そんなこと言われても困るわ。」
「あ、やっぱりそうかな?でも、俺と友達にはなれそう?」
「それは、勿論。」
時計に目をやると、そろそろ一時間目の授業が終る時間だった。
「じゃあ、今日はこのくらいにしとくよ。」
「えっ?」
「次の授業は出ないといけないからね。でも、諦めたわけじゃないから、これからも宜しくね。一ノ宮さん。」
「あ、紅茶ごちそうさま。美味しかったよ。」
なんと言葉を返したら良いのかわからずにいる紗那を残して、唯は生徒会室を後にした。
改めて考えてみれば全く無謀な話をしたものだと、唯自身が一番理解している。
本来はこんな風に事を進める予定はあるはずもなく、唯にとっては二度目の出会いも、偶然の産物である。
しかも、良い印象も無いままにいきなり、愛の告白。
普通に考えても、好かれる要素は何処にもない。
教室に向かう廊下を歩きながら、唯は溜め息混じりに自己嫌悪に陥るばかりだった。
あんな言い方をして、これから先どうすれば良いものかと一人になって急に弱気になってくる。
しかし、諦めるつもりはないと唯が発した言葉に嘘偽りはない。
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