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異常なまでの盛り上がりをみせる生徒達。
原因は新任の生徒会長&副会長にあったが、唯には何の騒ぎか理解の範疇ではない。
「ねぇ、サキ。何でこんなに盛り上ってるの?」
隣に座るクラスメイトに尋ねる。
『九条君知らないの?今度の役員ってすんごい人気なんだよ。美男美女っていうの?』
「そうなんだ。」
『あ、でも私は九条君のがカッコイイと思うよ!』
「そう?ありがと。」
別に重要でもなさそうな理由に興味もあまりわかないまま、自分を褒めてくれた彼女には笑顔で答えた。
ほどなく、壇上に上がっていく人物が見えた。
副会長と紹介された男子生徒は女生徒の再び巻き起こる黄色い声援に答えつつ、挨拶を始める。
確かに女子にはモテそうな顔と雰囲気ではあるが、外見と発言から考えると軽薄そうなイメージが唯の頭の中には定着する。
同性ではあっても唯は敬遠するタイプの人物。
長々と今更ながらの自己PRを行い、ギターを持ち出して歌を歌い、挙げ句の果てには、恋人募集宣言までやってのける。
おおよそ、一般的なその肩書のイメージとは遠くかけ離れているという事実がそこにはあった。
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