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壇上から離れた唯の所から目を凝らしてみれば、その彼女には見覚えがある。
いや、忘れるはずもない、半年ほど前に一度見掛けたことがある。
その姿が印象的だったのを覚えている。
その彼女が生徒会の新会長。
その時のイメージからは、会長などをやるような人物には見えなかったが。
「皆さん、お静かに!」
「お待たせしました。この度、生徒会長に就任致しました、一ノ宮 紗那(イチノミヤ サナ)です。正直なところ……私は自ら望んで会長になったわけではないのですが、とりあえず宜しく。」
とまぁ、いきなりの宣戦布告的発言。
そしてあっという間に壇上から降りてしまった。
注目していた生徒達もあっけにとられて言葉も出ない様子。
唯もまた、驚いてはいたが他の生徒達とは様子が少し違う。
「クスッ…面白い子だなぁ。なんかいいね、あぁゆうの。」
『えっ?九条君あぁゆうのが好みなの?別にそんなに可愛くないんじゃん?』
近くのクラスメイトが唯の独り言に口を挟むように話し掛けてきた。
「いや、可愛いよ。君よりね。」
『な、何よ!心配してあげたのにっ!!』
「や、頼んでないし。怒られても困るなぁ。」
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