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唯はいつものように、朝は遅刻をしない程度の時間に登校する。
『おはよう、唯ちゃん。』
「あ、おはよう。もう、秋なのに今日も暑いよね~。」
『うん……そうだね…。』
「ん?元気ないね。どうかした?」
話し掛けてきたのはクラスメイトの彩夏(アヤカ)だったが、いつもと様子が違う。
「何?悩みなら話聞くぐらいはできるよ?」
『うん、ありがと。でも、そうじゃなくてね……生徒会長の事なんだけど。』
「一ノ宮さん?どうしたの?」
『今まで、黙っててごめん!唯ちゃんが会長の事気に入ってるって噂が広まってて、会長に嫌がらせしてる子達がいるの!今日も、内容詳しくはわかんないんだけど、朝、呼び出すって聞いちゃったの!!もっと早く唯ちゃんに言うべきだったんだけど…ごめんなさいっ!』
「えっ?なにそれ。なんでそんな事になってるの?」
『だから、ごめん!』
「うん、わかった。教えてくれてありがとう。俺、探してみるよ。」
『ごめんね。変なヤキモチ妬いて黙ってたの。』
「大丈夫だよ。彩夏はちゃんと友達だから。」
そう言って、唯は走り去った。
『友達か……。』
後に残された彩夏はポツリと、そう呟いていた。
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