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取敢えず、学校の敷地内で人気のなさそうな所を捜す。
ありきたりな所で、例えば体育館裏。
まさか、そんなお約束な場所にはいないだろうと思いながらも、念のため確認に行くと、言い争うような声が聞こえてきた。
「まさか、ホントにこんなところにいるとは思わなかった。」
『えっ!?』
唯の声に紗那を囲むように立っていた女生徒の一人が振り向いた。
紗那はどうやら、突き飛ばされたらしく、地面にしりもちをついたような体勢になっていた。
「何してんの?こんな所で大勢集まっちゃって。」
『………。』
女生徒達は誰も口を開かない。
「まさかとは思うけど、一ノ宮さんに嫌がらせなんかしてないよね?」
その様子から嫌がらせというよりイジメの真っ最中といった感じだったが、唯は敢えてそうゆう言い方をする。
だが、物腰のやわらかな言葉とは裏腹に唯の表情が怒りに満ちているのは誰が見ても明らかだった。
何も答える気配のない女生徒達を無視することにして、何が起こっているのかわからないといった表情を浮かべる紗那のそばまで歩み寄る。
「一ノ宮さん、大丈夫?怪我はない?制服ちょっと汚れちゃったね。」
「……貴方、誰?」
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