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「むーつーきー」
「何。そんなに大きな声出さなくても聞こえてますから」
睦月は隣にいる夙祢にごついた。
「いたっ……あ、そうそう。左手貸して」
「高いけど」
「えええっ。お金取るの」
夙祢と睦月は、二人並んでサンライズの中のテーブルに座っていた。睦月は読書中だったため、話しかけられて若干不機嫌だった。
「何」
さっきよりも、苛立った面もちで問う。
「いいことだよ。早く」
目をキラキラさせながら促す。絶対変なことを目論んでいると推測したが、夙祢のことだ。いつまでも絡んでくるだろう。
睦月はしぶしぶ左手を夙祢に渡した。
「ふふふ」
ほら、この笑い方。ますます不安になった。
睦月は呆れた表情で夙祢を見つめた。
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