#4 運命の

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「むーつーきー」 「何。そんなに大きな声出さなくても聞こえてますから」 睦月は隣にいる夙祢にごついた。 「いたっ……あ、そうそう。左手貸して」 「高いけど」 「えええっ。お金取るの」 夙祢と睦月は、二人並んでサンライズの中のテーブルに座っていた。睦月は読書中だったため、話しかけられて若干不機嫌だった。 「何」 さっきよりも、苛立った面もちで問う。 「いいことだよ。早く」 目をキラキラさせながら促す。絶対変なことを目論んでいると推測したが、夙祢のことだ。いつまでも絡んでくるだろう。 睦月はしぶしぶ左手を夙祢に渡した。 「ふふふ」 ほら、この笑い方。ますます不安になった。 睦月は呆れた表情で夙祢を見つめた。
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