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『お疲れさま』 次の現場まで楽屋で休もうと思っていたのに… 『秋葉。何してる?』 『サクヤがいるって聞いたから来ちゃった』 いや。そんなハートマークが乱舞しそうな語尾で言われても… 俺の楽屋で、置きっぱなしにしていた雑誌を読み、くつろいでいる女。 グラビアで一躍有名となり、今やバラエティーやドラマで活躍していると、何かの雑誌で読んだ気がする。 『そうか。久しぶりだな。 さあ帰れ』 『な~に~ その冷たい言い方』 『俺は眠いんだ。だから帰れ』 『なら一緒に寝てあげるよ』 『いらない。早く帰れ』 『照れなくてもいいって』 『今度何でも聞いてやるから、帰ってくれ』 『本当!?』 …しまった。 “終わったら連絡するね”と満面の笑みを浮かべ秋葉は出ていった。 楽屋に入る前の疲れよりも、精神的に疲れてしまった体を、ソファーに預けた。
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